2023年2月施行 民商法典改正(必要株主数の変更など)

概要

  • 2023年2月7日より、民商法典改正第28号が施行予定です。設立時の発起人数が3名から2名以上に、株主についても実質2名以上で可となります。また、株主総会・取締役会開催のための手続きの一部簡素化、吸収合併が可能になるなど重要な規定がなされています。
  • 株主数の減少に関して、この法令改正が周知されるまで、ビザや労働許可取得手続きの際は株主数に関する釈明・説明を付けるなど、一定の配慮が必要と考えられます。
  • 下段の改正項目表については、一部を意訳ないし省略しています。またカッコ内は注釈・補足になります。より詳細につきましては原文を当たるほか、専門家に相談ください。

設立・株主・会議開催方法等

事項 改正後 従来
1097 会社設立時の発起人の数 2人以上、個人のみ 3人以上、個人のみ
1099 基本定款の有効期限 基本定款を登記した日より3年以内に設立が完了しない場合、基本定款は失効 (有効期限に関する規定無し)
1108-1 株主間・取締役間の意見対立について解決ルールを定める義務 株主間または取締役間における意見対立を解消する方法を規定しなければならない。(決議投票の際に賛否同数となった場合、それを決定する方法など) (任意規定のみ)
1128 株券への署名等 株券には少なくとも取締役1名の署名および、それがある場合(社印を商務省に登録している場合)は社印を押印すること。 少なくとも取締役1名の署名(社印押印の義務規定無し)
1162-1 オンラインによる取締役会の開催 当企業の基本定款で制限されていない限り、取締役の実際の出席のほか、テクノロジー使用(オンライン)による出席も可とする。
テクノロジーを用いた会議開催に関する法令を遵守する事。
民商法典上にはオンラインによる取締役会開催の規定が存在せず(但し、施行済みの勅令・省令に拠り可能ではあった)、取締役の実際の出席を要する規定であった。
1175 株主総会招集通知の発行

全株主に対し、総会日の7日前まで、特別決議の場合は14日前までに配達証明付き郵便の方法で招集通知を送付すること。

無記名の株券を発行している場合、タイの新聞ないしデジタルメディアに開催の告知を掲示すること。
(記名式株券発行の場合、新聞等への掲載は必須ではなくなった。)

(株券が記名・無記名によらず)タイの新聞に掲載する必要有り)
1178 株主総会開催の定足数 2名以上の株主またはその代理人の出席が必要かつ、それら出席者の持分合計が資本金の1/4以上 資本金の1/4以上の株を有する株主の出席が必要。(従来、最低人数の規定は無かったが、2名以上必要と解されていた)
1201 配当金支払いの期限 配当金は、株主総会ないし取締役会における決議日から1ヵ月以内に支払いを完了すること。 配当金支払いは、株主総会ないし取締役会における決議日から1ヵ月以内におこなわなければならない(支払い完了時期がやや曖昧な表現であった)
1237-4,5 裁判所による解散命令事由(最低株主数、他) 株主が1人のみとなったか、事業継続できない状況にある場合、裁判所は会社の解散を命じることができる。(株主は2名以上で可と解される) 株主が3人未満となったか、事業継続が不可能な状況である場合に、裁判所は解散を命じることができる。

企業合併に関する改正

従来、新設合併(旧会社は存続できない)のみ認められていたところ、吸収合併(旧会社のいずれかが存続会社となれる)が可能となりました。事案ごとに要確認ですが、存続会社が有していた許認可を失わずに済む手法として期待されています。

改正後

1243

合併後の新会社は合併された元の会社の全資産、負債、権限、義務、及び責任を引き継ぐ。

1239/1

反対株主の持つ株式を、合意価格ないし鑑定価格での買取を手配しなければならない。反対株主は14日以内に売却しない場合、新会社の株主となる。

1240

債権者に対して、合併決議後14日以内に通知を行い、かつ新聞へ告知を掲載すること。異議申し立て期間は1ヵ月間までとすること。合併に賛同しない債権者に対してはその債権を買取るか担保を供する必要がある。

1240/1

新会社の取締役は株主総会を開催し以下を決議すること。
社名・事業内容・資本金・各株主の持分・基本定款・付属定款・取締役選任・会計監査人。あれはその他付帯事項。
社名の引継ぎ可能・資本金は必ず合併前の資本金合計額以上であること。
合併決議日より6か月以内に株主総会を開催。決議により延期の場合も1年を超えない事。

1240/2

株主総会は合併前に企業があった場所ないし近隣県で開催する。全株式の過半以上の株主が出席し、その株主のうち1名を議長に選任する。別途の合意が無い限り、出席株主の過半数以上の賛成により可決となる。

1240/3

株主総会から 7 日以内に、合併前の企業の取締役会は事業・資産・経理関係、各種書類および帳票等を新会社の書類、及び各種帳票を新会社取締役に引き継ぐこと。

1241

株主総会で決議した基本定款・付属定款を、14日以内に登記すること

1242

登記官は次の内容を備考欄に記載する。新設合併:合併前の企業(すべて)が法人格喪失した旨。吸収合併:(吸収)合併された企業が法人格喪失した旨。

1243

新会社は、合併前の企業の資産・負債・権能・義務と責任をすべて継承する

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