BOIのワークパーミット(就労者の資格要件等)
一般のワークパーミットや滞在ビザと異なる点として、BOIのワークパーミットでは従来、一部の職種を除いて給与下限などの規定は無く、主として就労者の職歴が証明できれば申請可能となっていました。
今回(2025年6月)に出された通達(Por8/2568)により、全面的に給与所得に関する条件が追加されました。すでにBOI認可を受けている企業においては、2026年1月分の所得より下表の条件を満たす必要があります。それ以降にBOIのビザ・ワークパーミットを更新する際は、個人所得源泉税の納付書等をBOIに提出し、申請者の所得額を証明する必要があります。(WPを取得していない取締役などは対象外)
また今回の通達に伴い、昨年に出されたPor3/2567の規定は廃止されます。
職歴・学歴に関するルール
- 実務経験
ここでいう「実務経験」とは、申請する役職・職務と関連する職歴のあることを指し、また雇用証明書にそれが明記されている必要があります。例として、
・営業マネジャー職を申請したい場合は、営業やマーケティング職等での経験が5年以上。
・工場長職の場合は、製造や技術職等での経験。
途中で転職をされている場合は、ケースによって前職からの雇用証明書と現職の証明書を合わせ、必要年数の職務経験を証明する必要があります。 - 関連学歴
卒業証明書等に記載された学部学科名などから、申請する役職・職務との関連性を明確に把握できる必要があります。例えば、IT技術職であれば、情報技術・コンピューター科学・ソフトウェア等の専攻。電気技術者であれば、電気工学部卒、などとなります。
なお、一部の職種を除いて、大学卒を要求する規定はありません。
給与額・職歴等に関する規則
※会社代表者(President, CEO, Chairman, Managing Director)は年齢・職務年数は問われません。
役職等 | 年齢下限 | 関連学歴 | 実務経験 | 月給(バーツ) |
上級幹部(Executive) |
27歳※ | 5年※ | 150,000 | |
管理職(Management) Manager, Advisor,幹部補佐等 |
27歳 | 5年 | 学士以上:50,000 | |
学士未満:75,000 | ||||
オペレーション Staff~Assistant Manager |
22歳 | 有り | 2年 | 50,000 |
無し | 5年 | |||
科学・技術研究職 | 22歳 | 有り(学士) | 2年 | 50,000 |
有り | 2年 | 75,000 | ||
無し | 5年 | |||
エンジニア | 22歳 | 有り(学士) | 2年 | 50,000 |
無し | 10年 | 75,000 | ||
IT専門職 | 22歳 | 有り(学士) | 2年 | 50,000 |
無し | 5年 | 75,000 | ||
オペレーター(BPO、コールセンター等) | 22歳 | 関連研修の修了証明 | 35,000 |
関連規則など
- 新規申請者については雇用契約に基づいて判断される(補足:提出書類等の詳細は現時点で不明)
- 6カ月以内の短期就労については、給与規定は適用されない。
- ビザ・ワークパーミットの延長申請はPND1K(年次の所得・源泉税額のまとめ表)に基づいて判断されるが、勤務開始から1年未満の場合は、直近3か月分のPND1(月次の個人所得源泉税申告書)の記載に基づいて判断される。
- 従前のビザ・ワークパーミットをキャンセルした後に、1年以内に同じ職種での就労を再度申請する場合は、PND1KないしPND1に基づいて判断される。
- 従業員が100人を超える製造業では、タイ人労働者を70%以上雇用する必要がある。
- 製造業/サービス業で従業員が100人未満の場合、雇用比率は考慮しない。(補足:雇用しなくてよいという事ではありません)