滞在資格の喪失について – 意図せずオーバーステイにならないための知識

滞在許可の前提が喪失した時点でビザは使用不可

ビザ(滞在許可)は、その前提条件または事実が失われた時点で即座に失効になり、原則として猶予期間といった制度はありません。※1 以下に例を挙げます。

  1. Bビザ(就労ビザ)や帯同家族ビザ 退職日=原則としてワークパーミットを返納した日か、実質的に勤務を就労した日(給与が支払われていない状態)など。
  2. 結婚ビザ(タイ人の配偶者)離婚日、実質的な婚姻状態では無くなったときから
  3. 学生ビザ・保護者ビザ:卒業など、学校の認める在学期間以降
  4. リタイアメント:規定の預金額を維持できなくなった日。預金口座を変更した際などのミスにより、残高の維持を証明できないケースを含む。


ご駐在員等に関して、もし就労者の離任・退職後もBビザや帯同家族ビザのままで滞在を継続しますと、基本的に就労者の労働許可証を返納した翌日からオーバーステイとなります。また、「退職日の10日後に出国」といったことは原則として不可であり、出国日=退職日、ないし出国の後に退職、となるようビザキャンセル等の申告を行うべきとなります。

※1 滞在期限日までに別途の申請をすることで、出国準備のためとして7日間の滞在延長を申請することができます。但し県や支局によってはこの申請ができず、当日中に要出国となることもあります。

注意点および対応

注意すべき点

上記のようなことが発生した後にビザ関係の手続きをおこないますと、本人の意図や悪意があるかにかかわらず、その時点でオーバーステイ(2万バーツまでの罰金、もし3か月以上経過の場合は入国禁止措置)を問われる恐れが有ります。
ご勤務先の社内規定や個別事情といったことは、原則考慮されない点もご留意ください。

対応

退職や離婚届けといった手続きを行う前に、どのような手順であればオーバーステイにならないか、管轄の入国管理局にしっかり確認を取るといった作業が必要となります。また、やむをえずそういった状況になってしまった場合は放置せず、早急に入国管理局へ相談する(または緊急的な手段として一度出国し、まずオーバーステイの状況をクリアする)ことをお薦めします。

ビザの失効・必要手続きに関しては明文化されたルールが無く、県や管轄によって異なります。また情状酌量については担当官の裁量しだいのため、通念や見聞のみで判断しないことが肝要と思われます。

90日レポート申請手順(インターネット)

インターネット(ウェブブラウザ)上での90日レポート申請手順をご紹介いたします。パソコン・スマートフォンとも利用可能です。

お願い

操作方法・不具合・地方県での対応状況などは管轄の入国管理局(ホットライン1178など)にお問合せください。弊社ではご回答いたしかねますのでご了承ください。
送信ボタンを押した後にエラーが表示され、申請完了できないケースがございます。この場合、数日待って再度お試しになり、それでも不可の場合はイミグレーション窓口での申告をお薦め致します。(受理件数に上限があり、その処理が済むまで受付け停止・エラー表示が出る仕様となっているようです)

申告期間・注意事項

  • タイ入国日(入国日を含む)または前回の90日レポート申告日から数え、75日目から97日目まで申請できます。但し申告期限の間際(数日前)となった場合は、イミグレーション窓口での申告をお薦め致します。審査期間は通常1-3営業日ですが、もし最終期限日などにリジェクトされてしまうと申告期限切れとなりえますのでご注意ください。
  • タイ渡航後初めて90日レポートを行う場合、パスポート更新をされた場合などは原則としてイミグレーション窓口での申告が必要で、次回以降インターネット申請が可能となります。
  • 前回の90日レポート後に転居した場合も受理されないことがあります。この場合、TM30と呼ばれる外国人居住届のコピーをお住まいの管理者等から受け取り、イミグレーション窓口申告となります。(管轄により扱いが異なる可能性があります)

利用者登録(初回のみ)

最初の画面の下のほうにある「Don’t you have an accont?Apply」という箇所をクリックし、登録画面から必要事項を送信しますと、登録したEメール宛てにパスワードが通知されます。

90日レポート申請手順

【1】ログイン

登録済みのメールアドレス及び通知されたパスワード等を入力し「LOGIN」を押します。最初の画面で「NEW APPLICATION」をクリック。

【2】情報入力

下記記入例の通り、現住所・電話番号・ビザ情報等を入力します。

バンコクのワンストップセンターでビザ更新をされている方(BOI・IEAT認可企業、駐在員事務所等)は、下の青枠の箇所にチェックを入れてください。

情報入力後、下記の「I acknowledge…」の箇所にチェックを入れ、Submitを押して完了です。

【3】情報送信後

申告完了後すぐ受領通知のメールが届きます。問題が無ければ1~3営業日程度で承認通知が来ますので、添付されている申告受領票の内容を確認し、印刷したものをパスポートに留めるなどして保管下さい。もし、送信した内容に誤りがあった場合はいったん申告をキャンセルし、再度申請し直しとなります。

90日レポート受領確認メール
90日レポート承認通知メール
90日レポート申告受領票サンプル
90日レポート申告受領票サンプル

新しいパスポートへのビザ転記(ビザ記載の移し替え)

パスポートをタイ国内の日本大使館で更新した場合

新・旧のパスポート原本とコピー(顔写真のページ、直近のビザ、入国スタンプ、出国カード)に加え、在タイ日本大使館から発行された「ビザ転記レター」をご用意ください。
ビザ転記手続きは原則としてビザ発給を受けたイミグレーションでのみ可能です。

ビザ取得者がタイ国外(日本等)でパスポート更新した場合

 日本等でパスポートを更新した場合は、以下の手順でご対応下さい。

  1.  新旧2冊のパスポートを用意、タイ入国の際に旧パスポート内にあるリエントリーパーミット(Re-entry Permit)を入国審査官に明示してください。
  2.  新パスポートに再入国扱いの入国印が押されていることをよくご確認下さい。「Visa Class」という欄に「Non-Re」または「Re」といった記載があればOKです。
  3.  日本大使館に新旧パスポートを持参し、「ビザ転記レター」の発行を受けます。
  4.  ビザ発給地のイミグレーションにて、新パスポートへのビザ転記手続きを実施下さい。

リエントリーパーミットは別途の手続き要

  • 通常、ビザの転記とリエントリーパーミットの転記はそれぞれ申請を行う必要があります。管轄のイミグレーションによって扱いが異なりますので、手続き時に良くご確認下さい。
  • ビザのみを転記した新しいパスポートで出入国すると、再入国許可を持っていないと判断され、ビザ失効・ノービザ扱いになるリスクが高いため、十分ご注意下さい。
  • もしリエントリーパーミットの転記をし忘れた場合は、タイ出国前に新しいリエントリーを取るか、旧パスポートにあるパーミットを入国時に見せることで原則ビザ切れを避けることできます。ただし、トラブル防止のためビザとリエントリーは両方転記を行ってください。

パスポートを紛失し、再発行を受けた場合

「Lost or Stolen Passport Form」というフォームの申請書を使用し、警察署発行の紛失証明、日本大使館発行のレター、新しいパスポートを持参し、イミグレーションで手続きを行います。

紛失したパスポートのコピーが無いとイミグレーションでの手続きが難航する場合がありますので、可能な限りパスポートのコピーや画像(顔写真ページ、有効なビザ、入国印のページ、出国カード等)を保管することをお薦め致します。

リエントリーパーミット(再入国許可)

リエントリーパーミットとは

リエントリーパーミット画像

ビザ (滞在許可)はタイから出国した時点で失効しますが、出国しても現在有効なビザを失効させずタイに再入国したい場合は別途、Re-entry Permit(リエントリーパーミット)を取得する必要があります。

再入国許可の有効期限(Valid Untilに書かれた日付)は、その対象である有効なビザと必ず同じです。

種類

  • シングル・・・出入国1回毎に再取得が必要 (1,000バーツ)
  • マルチプル・・・ビザの期限内、何度でも出入国が可能(3,800バーツ)

取得方法

イミグレーションで事前に取得するか、出国当日に主要な国際空港・陸路国境などで取得できます。空港でのリエントリーパーミットは出発当日フライトチェックインを済ませた後のみ可能です。

  • イミグレーションで事前取得する場合、パスポート原本とコピー、顔写真1枚を持参し、TM8様式という申請書類で申請を致します。
  • スワンナプーム空港では、出国審査場内にある専用カウンター(Re-entry Visaと書かれたデスク)で24時間取得できます。
  • バンコク・ドンムアン空港は、出国審査官にリエントリーパーミットを取りたい旨を伝えて指示に従ってください。24時間対応です。
  • チェンマイやプーケット空港などは原則日中のみとなりますので、ご注意下さい。

「マルチプル・ビザ」と「リエントリーパーミット」の違い

  • マルチプル・ビザ・・・タイに入国する度に、新しい滞在許可が与えられる
  • リエントリーパーミット・・・すでに取得済みのビザ(滞在許可)を、タイから出国しても失わないよう保護するもの

タイ大使館で「マルチプルエントリー」のビザを取得済みの方は、タイ大使館で発給されたビザの使用期限”ENTER BEFORE”の日付までに再入国する場合、特別な理由がなければこのリエントリーを取得する必要はありません。

例えば「Bビザマルチプル1年」を取得した方は1年間、タイに入国する度に90日間までの滞在許可が与えられます。

なお、リエントリーパーミットは、元となる滞在許可の失効を防ぐものであって、「ビザ=滞在許可」そのものではありません。滞在期限を迎えますと、未使用のリエントリーがあっても、ビザと同時に失効しますのでご注意ください。

90日レポート

90日レポートとは

主にノンイミグラントビザ(B、O、EDなど)を取得された方が、90日以上タイより出国しない場合、入国管理局へ現住所申告を義務づけるルールです。言い換えますと、3か月に1回はタイより出国している方については、この申告をする必要はありません。
90日レポートは「居住地報告」ですので、滞在許可(ビザ)の期限などとは基本的に連動せず、期限管理をおこなう必要があります。

申告の方法

イミグレーション窓口での申告

90日目を基準にして、前15日間・後ろ7日間(75日~97日目)の間にパスポート原本と申告用紙(TM47というフォーム)を管轄のイミグレーション窓口に提出。
期限内申告の場合は、委任状不要でどなたでも代理ができます。

インターネット(ウェブブラウザ)での申告 こちらをご覧ください。
郵送

期限日(90日目)の15日以上前に、書留郵便にて申告する方法です。詳細はイミグレーションウェブサイトをご参照下さい。

申告期限のカウントについて

  • タイへの入国日または前回の90日レポート時から起算し、75~97日目の間に申告を行うこととなっています。(イミグレーション窓口申告の場合)
    途中タイから出国した場合、再入国した日から改めて日数カウントとなります。
  • 【2022年5月追記】インターネット申告でも90日目くらいまで申告可能となっています。
  • 例外として、滞在初年度のみ、ビザ期限更新(=滞在延長申請)をした日から起算して90日後が初回の90日レポートの時期になります。
     
     1月1日  Bビザでタイに入国
     3月1日  Bビザの1年延長申請
     5月29日  初回の90日レポート時期(5月14日~6月5日の間が申告期間)
     8月26日  2回目の90日レポート時期

補足と注意事項

  1. 県により細則が異なる
    県により、申告書の書式が多少異なったり、パスポートコピーなど追加書類を求められる場合があります。
  2. TM30(外国人居住届)との関係
    転居をした場合、新居のオーナー等がTM30(外国人居住届)という申告を済ませていない場合、新住所での90日レポートを受け付けてもらえないケースがあります。転居後初めての90日レポートを行う際はこのTM30申告の受領票コピーを用意し、90日レポートをおこなうのが無難です。特に他県から転居した場合は必須とお考え下さい。
    TM30は別項で解説いたします。
  3. ビザ更新をしたイミグレーションへの申告が原則
    90日レポートは、滞在延長を行った管轄の入国管理局で行うことが原則です。自宅がサムットプラカン県、勤務地がバンコク(Bビザ更新をバンコクでした)という場合、バンコク入国管理局での申告となります。
    BOI認可企業など例外はありますが、特段の理由なく他県で90日レポートをしますと次回のレポート時に面倒が生じることがありますので、なるべくお避け下さい。
  4. 罰則について
    申告期限が過ぎてしまった場合、本人がイミグレーション窓口に出頭したうえで2000バーツの罰金支払いとなっています。もし警察官等より指摘を受けた場合は4,000~5,000バーツの罰金となります。90日レポートを行っていない場合、ビザ更新申請ができない事がありますので更新時期は特に注意すべきです。
    一方、ルール外ではありますが、空港から出国する場合は90日レポートについてチェックを受けることは弊社把握の限り稀となっています。(各自のご判断でお願い致します)
  5. レポート受領票はパスポートにホッチキス留めなどし失くさないよう保管下さい。

 

90日レポート申告受領票のサンプル
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