BOI 外国人給与・タイ人雇用の審査基準(2025年9月発行Q&Aの翻訳)

別投稿【(BOI就労許可の条件(職歴・学歴・年齢・給与等)】に掲載の通り、2026年1月(新設企業は昨年10月から)、外国人給与にかかる規定が開始されました。タイ人雇用条件に関するルールと合わせてQ&A集(ビザ・ワークパーミットサービスセンター第94号)が発行されましたので、この参考訳を掲載します。

 

第一章:タイ人雇用比率に関するQ&A

重要なお知らせ
BOI公告「Por.8/2568」の基準に関する問い合わせが多数寄せられているため、本号では多くの方に理解していただけるよう、外国人雇用条件についてFAQ形式で内容を整理します(公告 Por.8/2568 に準拠)


Q1:タイ人従業員を70%以上雇用する要件は、すべての事業に適用されますか。

A すべての事業には適用されません。投資奨励を受けた「製造業」に限って適用され、かつ会社全体のタイ人従業員数と、製造業に所属する外国人常勤者数の合計(Single Window:SWで承認された人数)が100人を超える場合にのみ適用されます。(補足:Single Window=BOIの滞在・就労許可申請システム)

例:
会社Aが、製造業およびサービス業を含む3事業で投資奨励を受けており、雇用状況が以下の場合

  • タイ人従業員(全社):90人
  • プロジェクト1(製造業):外国人20人
  • プロジェクト2(製造業):外国人10人
  • プロジェクト3(TISO):外国人10人

製造業の外国人は30人、全体で120人となり、タイ人比率は75%。よってBOIの要件を満たします。


Q2:公告 Por8/2568 に基づく新措置は、いつから適用されますか。
A2025年6月5日以前に投資奨励証を取得した事業:2026年1月1日から適用、2025年6月5日以降に取得した事業:2025年10月1日から適用


Q3:会社Aは製造業で101人を雇用(タイ人71人、外国人30人)しており、BOIの雇用比率要件を満たしています。その後、TISO事業でタイ人を増やさず、外国人2人をTISO枠で追加雇用したい場合、承認されますか。
A 承認されます。TISOはサービス業であるため、この外国人2人は製造業の雇用比率計算(外国人数・全従業員数)には含まれません。


Q4:タイ人従業員が70%未満の場合、どうなりますか。

Aタイ人比率が70%を超えることを示す社会保険の証明書を提出するまで、外国人の新規就労申請や更新申請はできません。


Q5:70%比率の計算に含めない従業員の区分はどれですか。

A 以下は算入しません。

  • 短期間の外国人就労者(滞在許可期間が6か月以内)
  • MOUに基づく労働者(補足:MOU=カンボジア・ミャンマー・ラオス・ベトナムとの労働力提供協約)
  • 製造業のBOI恩典を使用しない外国人(一般事業、工業団地公社〔IEAT〕、またはサービス業のBOI奨励証書を使用する者)

Q6:サブコントラクターやインターンはタイ人従業員として数えますか。

A 会社が社会保険料を拠出しているタイ人従業員のみを算入します。


Q7:外国人常勤者数は何を基準に算定しますか。

A Single Windowシステムで承認された、製造業のBOI恩典を使用する外国人の人数を基準とします。  


Q8:総人数が100人を超える場合、70%の雇用比率はどのように計算しますか。

A 以下のいずれかで算定します。

  • 方法1: BOI恩典を使用する製造業の外国人常勤者数 ≤(タイ人従業員数 × 3)÷ 7
  • 方法2: 必要なタイ人従業員数 ≥(BOI恩典を使用する製造業の外国人常勤者数 × 7)÷ 3
    ※端数が出た場合は切り捨て。

Q9:タイ人従業員数はどの証拠書類に基づきますか。

A 会社の社会保険証明書=保険料納付書:SPS1-10様式(フォーム1及び2)


Q10:総従業員数が100人以下の場合も、社会保険書類の提出は必要ですか。

A はい。雇用比率を継続的に確認するため、すべての場合で提出が必要です。

Q11:社会保険書類はいつ提出する必要がありますか。

A
① 初回申請時:
当規則施行前、または施行後に最初の外国人登録申請を行う前の最新月のSPS1-10を提出。

② 2回目以降の提出(2ケース)

  • ケース1: BOI恩典を使用する外国人(製造・サービス合計)が30人以下
     → 年1回、前年12月分賃金のSPS1-10を毎年2月までに提出。
     例: 会社A(製造業のBOI外国人28人)は2025年10月31日に2025年9月分を提出。
     次回は2026年2月28日までに2025年12月分を提出。
  • ケース2: BOI権利を使用する外国人(製造業のみ)が30人超
     → 最新月のSPS1-10を、3か月ごとに月末まで提出。
     例: 会社B(製造業のBOI外国人31人)が2025年9月15日に8月分を提出した場合、 次回は11月分を11月30日までに提出。
     ※3か月の起算は、直近提出分の賃金月から数えます。

未提出の場合
SPS1-10の提出から3か月超が経過、または所定期限内に未提出の場合、システムが検知し、各種申請ができなくなります。

タイ人従業員を追加雇用した場合
最新月のSPS1-10を随時更新可能。その後は②の規定に従って提出。


Q12:所定期限内に社会保険の証明書を提出または更新しなかった場合、どうなりますか。

A 外国人の新規登録申請および更新申請ができなくなります。


Q13:社員名、給与、その他の情報を、社内方針上の理由で非表示にできますか。
A 一部または全部を非表示にすることはできません。
ただし、Single Windowシステム上で、給与担当の人事担当者や関係部署に専用ユーザーアカウントを付与し、その担当者が社会保険書類を提出することは可能です。他のユーザーは、社会保険書類を閲覧できない仕様になっています。

 

第二章:外国人所得要件に関するQ&A 

Q1:最低所得要件は、すべての国籍・すべての事業に適用されますか。

A 一時的外国人従業員(滞在許可が6か月以内)を除き、SWシステムに登録されるすべての事業・すべての外国人職位に適用されます。最低所得額は、職位のレベルおよび種類によって異なります。


Q2:投資調査目的で入国する外国人、または投資奨励の承認を待つ間に入国する外国人、もしくは一時的に就労する外国人にも最低所得要件は必要ですか。 
A 必要ありません。


Q3:最低所得はいくらですか。

A 職位レベル・職種別の月平均最低所得は以下のとおりです。

  • Executive(CEO、MDなど): 150,000バーツ以上/月
  • Management(Manager、各種Advisorなど):
     75,000バーツ以上/月、または学士号保有者は50,000バーツ以上
  • Operation(エンジニア・研究者・IT専門家を除く):
     Technician、Specialist、Supervisor等:50,000バーツ以上/月
  • エンジニア・研究者・IT専門家:
     75,000バーツ以上/月、または専門分野に合致する学士号保有者は50,000バーツ以上
  • TISO事業(IBPO/BPO)のOperator: 35,000バーツ以上/月

Q4:所得が最低基準に満たない場合はどうなりますか。
A 新規申請および更新のいずれも非承認となります。


Q5:CHAIRMAN、PRESIDENT、CEO、MANAGING DIRECTORは最低所得要件の免除対象ですか。
A 免除されません。免除されるのは年齢および職務経験要件のみです。


Q6:「IT職」とはソフトウェア事業に限った「IT専門家」を指しますか。
A いいえ。すべての事業分野におけるIT関連職位を指します。


Q7:職位名がManagement(例:Production Manager)の場合、Operationとして申請し、Operationの給与基準(50,000バーツ)を適用できますか。

A できません。職位名および業務範囲に合致するレベルでのみ申請できます。
Production ManagerはManagementとして登録し、

  • 専門分野に合致する学士号がある場合:50,000バーツ以上
  • 学士号がない場合:75,000バーツ以上 が必要です。

なお、GENERAL MANAGERなど現在Executiveに分類されている職位で、過去にManagementとして承認されている外国人については、その職位を離れるまでManagementとして扱われます。


Q8:最低所得を証明するために必要な書類は何ですか。

A 以下の書類を提出します。

新規申請時(赴任時)
給与額が明確に記載された雇用契約書。金額が明示されていない報酬(住居提供、運転手などの福利厚生)は含めません。契約は、

  • 投資奨励を受けたタイ法人との契約、
  • BOIの承認を受けた場合は、そのグループ会社との契約
  • タイ法人と直接契約がない場合は、海外の親会社との契約でも可(この場合、投資奨励事業での勤務を命じられていることを証明する書面を添付し、タイのBOI企業の権限者による署名が必要)

更新手続き時

  • PND1K(年次の源泉徴収税申告書)を使用。
  • 配属(雇用)から1年未満で、まだPND1Kの提出周期に達していない場合は、直近3か月以上のPND1を使用可。(補足:PND1=月次申告する、給与所得等の源泉税申告書)

海外親会社からの収入、またはBOIの許可を受けて、タイ国内のグループ会社で勤務したことによる収入を合算する場合は、PND90/91の使用を認めます。(補足:PND90/91=年次の個人所得税確定申告書)
この場合、収入の半分超がタイの投資奨励会社での勤務によるものであることを証明する書面を添付し、タイのBOI企業の権限者が署名する必要があります。


Q9:PND1/PNK1Kは全ページ添付が必要ですか。

A 関連部分のみを、以下の順で添付します。

  1. 領収書
  2. 源泉徴収税申告書
  3. PND1/1Kの添付書類(外国人の氏名が記載されているページのみ)
  4. PND1/1Kの最終ページ(合計人数が記載されたページ)

Q10:従来、最低所得要件がなかった職位からの更新の場合、どの書類が必要ですか。

A 公告施行後3か月以内に限り、PND1Kの代わりに直近1か月分のPND1のみの提出が認められます。これは、所得が最低基準に引き上げられたことを示すためです。なお、直近月にボーナスや一時金が含まれる場合は、その前月のPND1も添付し、当局は定期収入+ボーナス等を月割りして所得を算定します。


Q11:現在の職位を離れ、新しい職位に異動した場合、どの書類が必要ですか。

A 前職を離れてから1年以内であれば、

  • 新しい雇用契約書

新職位の基準を満たす収入が確認できるPND1またはPND1Kを提出します。


Q12:海外親会社からの収入を合算できますか。必要書類は何ですか。

A 合算可能です。

  • 新規申請時: タイ法人または海外親会社との雇用契約書に加え、タイ法人で勤務していることを証明する書面(BOI認可企業の権限者署名)を提出。
  • 更新時: 国内外の収入を合算して最低所得を満たすPND90/91と、収入がすべてタイ法人での勤務によるものである旨の証明書(タイ法人権限者署名)を提出。

Q13:BOI認可企業外に、当局の許可を受けてグループ会社でも勤務している場合、全社分の収入を最低所得として合算できますか。

A 可能です。
BOI権利を使用している主たる会社、または許可を受けた複数のグループ会社の収入を合算できます。ただし、収入の半分超は、ビザ・就労許可の権利を使用している主たる会社からのものである必要があります。


Q14:ボーナスや役職手当、住宅手当などは最低所得に含められますか。

A 含めることができます。

  • 初回登録時: 雇用契約書に金額を明確に記載する必要があります。
  • 更新時: PND90/91に合算し、タイ法人での勤務による収入額を示す証明書(権限者署名)を添付します。

Q15:PND90/91を使用する場合、許可されていない業務による他の収入も合算できますか。

A 合算できません。
最低所得の算定に含まれない収入例:

  1. 当局の許可を受けていないグループ会社での追加業務収入
  2. 当局の許可を受けていない企業・団体での就労収入
  3. 懸賞金(例:宝くじ当選)
  4. 投資による利息・配当
  5. 賃貸収入や資産売却益

 

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BOI就労許可の条件(職歴・学歴・年齢・給与等)

BOIのワークパーミット(就労者の資格要件等)

一般のワークパーミットや滞在ビザと異なる点として、BOIのワークパーミットでは従来、一部の職種を除いて給与下限などの規定は無く、主として就労者の職歴が証明できれば申請可能となっていました。

今回(2025年6月)に出された通達(Por8/2568)により、全面的に給与所得に関する条件が追加されました。すでにBOI認可を受けている企業においては、2026年1月分の所得より下表の条件を満たす必要があります。それ以降にBOIのビザ・ワークパーミットを更新する際は、個人所得源泉税の納付書等をBOIに提出し、申請者の所得額を証明する必要があります。(WPを取得していない取締役などは対象外)

また今回の通達に伴い、昨年に出されたPor3/2567の規定は廃止されます。

職歴・学歴に関するルール

  • 実務経験
    ここでいう「実務経験」とは、申請する役職・職務と関連する職歴のあることを指し、また雇用証明書にそれが明記されている必要があります。例として、
    ・営業マネジャー職を申請したい場合は、営業やマーケティング職等での経験が5年以上。
    ・工場長職の場合は、製造や技術職等での経験。
    途中で転職をされている場合は、ケースによって前職からの雇用証明書と現職の証明書を合わせ、必要年数の職務経験を証明する必要があります。
  • 関連学歴
    卒業証明書等に記載された学部学科名などから、申請する役職・職務との関連性を明確に把握できる必要があります。例えば、IT技術職であれば、情報技術・コンピューター科学・ソフトウェア等の専攻。電気技術者であれば、電気工学部卒、などとなります。
    なお、一部の職種を除いて、大学卒を要求する規定はありません。

給与額・職歴等に関する規則

会社代表者(President, CEO, Chairman, Managing Director)は年齢・職務年数は問われません。

役職等 年齢下限 関連学歴 実務経験 月給(バーツ)

上級幹部(Executive)
Director, President, CEO, General Manager など

27歳   5年 150,000
管理職(Management)
Manager, Advisor,幹部補佐等
27歳   5年 学士以上:50,000
学士未満:75,000
オペレーション
Staff~Assistant Manager
22歳 有り 2年 50,000
無し 5年
科学・技術研究職 22歳 有り(学士) 2年 50,000
有り 2年 75,000
無し 5年
エンジニア 22歳 有り(学士) 2年 50,000
無し 10年 75,000
IT専門職 22歳 有り(学士) 2年 50,000
無し 5年 75,000
オペレーター(BPO、コールセンター等) 22歳 関連研修の修了証明 35,000

関連規則など

  1. 新規申請者については雇用契約に基づいて判断される(補足:提出書類等の詳細は現時点で不明)
  2. 6カ月以内の短期就労については、給与規定は適用されない。
  3. ビザ・ワークパーミットの延長申請はPND1K(年次の所得・源泉税額のまとめ表)に基づいて判断されるが、勤務開始から1年未満の場合は、直近3か月分のPND1(月次の個人所得源泉税申告書)の記載に基づいて判断される。
  4. 従前のビザ・ワークパーミットをキャンセルした後に、1年以内に同じ職種での就労を再度申請する場合は、PND1KないしPND1に基づいて判断される。
  5. 従業員が100人を超える製造業では、タイ人労働者を70%以上雇用する必要がある。
  6. 製造業/サービス業で従業員が100人未満の場合、雇用比率は考慮しない。(補足:雇用しなくてよいという事ではありません)

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