BOI企業のワークパーミット・Bビザ更新

BOIのWP・Bビザ延長の概要

概要

BOI (タイ投資委員会) の投資奨励を受けた企業は、専用のオンラインシステムで就労許可・滞在許可を申請することができ、事業カテゴリーによって最長4年までの許可を得られるといったメリットがあります。通常の就労ビザのように外国人1名につきタイ人4名雇用といった規則もなく、大きなアドバンテージと言えます。(タイ人社員を雇用しなくてよいという訳ではありません)

一方で、一般のワークパーミット取得と比べ、適切な職歴・専門性を有する事が重視されます。BOIの就労許可制度では「その道のエキスパートをタイに招聘し、タイ人に技術やノウハウを移転する」という目的があるためです。

一部の例外を除き、申請する職務分野における直接的な経験が5年以上必要です。例えば、品質管理マネジャーやスーパーバイザーという役職を申請したい場合、品質管理の職務経験が原則5年以上あることが要求されます。現在または過去の雇用主が発行した雇用証明等が審査書類となります。
学卒者の場合、27歳未満ですと基本的に「5年以上の職歴」という条件を満たさないという事になりますので注意を要します。

職務経験年数の注意事項・例外について

  • 5年間の職歴はあるが、営業職で3年、総務職で2年間といった経歴の場合、原則として営業関連・総務関連いずれの役職も申請条件を満たさない事になります。
  • 「非技術系の学部卒の方がエンジニアや製造関係の役職を申請する場合は、それらの職務経験が10年以上」「IT系・コンピュータ科学等の学部を卒業した方が、IT・SE関連職で就労する場合は2年以上の職務経験でもよい」といった例外があります。後者についてはかなり厳密に判断をされますので、学歴と職務経歴の関係性が不明瞭である場合は原則通り、5年以上の関連職歴が必要とすべきです。
  • 一部、BPO(コールセンター等)カテゴリーで認可を受けた企業のオペレーターとして就労する場合は就業年数に関する規則は緩和されています。
デジタルワークパーミットのサンプル BOI
Digital Work Permitのサンプル

BOI就労申請の流れ

手続きの流れ

BOIビザ・WP申請の流れ

タイ大使館で90日期限のBビザ(またはIBビザ)を取り、タイに入国することが前提となります。

  1. まず役職名や職務内容を定義し、ウェブ上で外国人就労枠取得の申請(ポジション申請)をします。通常Single Windowという名称のオンラインシステムを利用します。
  2. 取得できた就労枠(ポジション)に外国人が着任する申請(パーソナルリクエスト)を行います。就労申請する外国人が当該ポジションにふさわしい経歴を有しているかが審査されます。
  3. BOIが着任を許可しますと、入国管理局・労働省雇用局に通知がされ、ワークパーミット取得やビザ更新の手続きが可能となります。
  4. バンコクのVisa and Work Permit One Stop Service Centerで手続きをする場合、オンラインで申請予約ができます。
  5. One Stop Service Centerに本人が出向き、写真撮影+署名など簡易的な手続きを行います。WP発行・ビザ更新共に即日で完了となります。

赴任までの期間が2-3週間以上ある場合、外国人の入国前にポジション許可を取っておくことで、入国後はパーソナルリクエスト(着任申請)を行うのみで、迅速にワークパ―ミットを取得することができます。

ポジション申請(外国人の就労枠申請)について

前述の通り、BOIのワークパーミット・滞在申請では、まず役職(就労枠)を追加する許可を取った上で、適切な経験を持った外国人がその枠に着任を申請するという流れになります。

例えば「営業マネジャー」というポジションの許可を得ても、その役職に就く外国人が適切な職歴を有していなければ、営業マネジャーとして就労許可・滞在許可(ビザ)を取ることはできません。ポジション申請をする前に就労者の職歴がその役職にマッチしているかをよく検討することがポイントになります。

また、同一ないし類似した職務で2つ以上のポジションを申請することはできません。営業マネジャーとして2名を駐在させたいという場合は、それぞれ組織上の位置づけを定義したうえで申請内容を検討する必要があります。

ポジション申請時は、「経営者層」「中間管理職層」「担当者レベル」のように役職の階層を選択して申請します。経営者層は原則として取締役になりますが、この場合はマネジャー級の管理職経験者であることが条件となります。

着任申請(パーソナルリクエスト)

まず日本等の在外タイ大使館・領事館で90日期限のBビザを取得し、タイに入国します。入国後すみやかにBOIにオンラインで着任の申請を行います。就労枠に対して的確性が認められればWP取得・ビザ期限延長の許可が出されます。主たる必要書類は、雇用証明書と卒業証明書になります。

帯同するご家族がいる場合は、就労者の着任申請と同時にご家族も滞在許可の申請ができます。

残り滞在期限が最低15日以上無いと着任申請を行うことができないため入国後はできるだけ速やかに申請を行います。

BOIビザ・WP申請の必要書類

注意事項

企業がBOI認可を受けた際に受領した奨励証書等に記載された条件・義務を、企業が履行していることが前提条件となります。例えばBOIに対し半年/1年毎の定期報告を実施していること、また認可を受けてから3年経過した企業は原則として正式操業(フルオペレーション)の認可を得ていること等が条件になります。

また、事業カテゴリーによって提出書類・満たすべき条件が異なる場合があります。例として、ソフトウェア開発事業等の場合は、開発部門の人件費として年150万バーツ以上を支出する義務があり、その証拠となる書面が要求されます。

企業側の必要書類

  1. 会社登記簿
  2. 株主名簿
  3. 決算書
  4. 組織図
  5. 技術移転計画書
  6. その他、事業カテゴリーによって要求される書類

就労者の必要書類

  1. パスポート写し(本人情報ページ・有効なノンイミグラントビザのページ・入国印等)
  2. 英文ないしタイ語の雇用証明書
  3. 英文卒業証明書
  4. 組織図
  5. 本人写真データ

帯同のご家族がいる場合

  1. ご家族パスポート写し(本人情報ページ・有効なノンイミグラントビザのページ・入国印等)
  2. 英文家族証明証書 または同様の書類
  3. 本人写真データ

 

離任・退職時の手続き(BビザとWPのキャンセル)

ビザキャンセル・WPキャンセルの流れと留意事項

タイでの就労を終える際は、Bビザとワークパーミットのキャンセル手続きが必要です。帯同のご家族がいる場合は、そのビザも同時にキャンセルを行います。

ビザ・WPキャンセルの流れ

前提として、ビザは滞在理由を喪失した時点で失効となります。
Bビザの場合は退職日=滞在期限となりますので原則的には退職日付けで出国要となります。ただし、Bビザキャンセルを行う際に出国準備を理由として滞在延長申請を行うことで、7日間だけ滞在延長(出国猶予)を受けることができます。

手続きの流れは、退職予定日の1~3週間前にまずビザキャンセルの申告を行い、退職日(または出国日)以降にワークパーミットを返納するのが基本となります。
但し、県によっては退職当日に先にワークパーミット返納→イミグレーションでのビザキャンセルが要求されるなど、段取り・必要書類が異なります。

注意事項

ビザキャンセル→ワークパーミットキャンセルが原則
Bビザキャンセルを行う前にWPをキャンセルしますと、制度上はその日でBビザの有効性が失われます。そのまま滞在を続けますとオーバーステイという事になってしまう点に注意下さい。

帯同家族ビザの扱い
Bビザと家族ビザのキャンセルは原則同時に行います。家族ビザはBビザに付属する許可のため、もしBビザのみ先にキャンセルしますと、家族ビザはその時点で概念上失効となります。

ワークパーミットのキャンセル義務
ワークパーミットは、退職日から15日以内の退職届出(WPキャンセル)が義務とされており、これを怠りますと以下の不利益があります。

  1. 期間に応じて企業側に罰金が課されることがある。
  2. 退職者が他社で新しいワークパーミットを申請できない。
  3. 退職者のWPキャンセル完了まで、同じ役職で他の方が就労を申請する事はできません。またまた「資本金200万バーツあたり外国人1名就労可」がクリアされない。

Bビザキャンセル/ワークパーミットキャンセル必要書類

  1. 会社登記簿
  2. パスポート
  3. ワークパーミット
  4. 労働局・イミグレーション所定の申告フォーム等
  5. ビザキャンセル時、所得源泉税申告書
  6. 代表者の身分証明書写し・委任状

※上記は主たる必要書類となり、追加書類を要する場合があります。

 

駐在員事務所のワークパーミット・Bビザ更新

駐在員事務所のWP申請条件・書類

駐在員事務所では、タイ人1名雇用につき1名の外国人が就労できるなど、一般企業に比べ条件が緩和されますが、外国人の就労は原則2名までとなります。

ワークパーミット免除について

主として2017年頃までに設立された、外国人事業ライセンス(Foreign Business License)を有する駐在員事務所の代表者は、2018年発布の緊急勅令によりワークパーミット取得が免除されています。
この場合、駐在員事務所代表者として登記され、Bビザ等の就労可能なビザを取得するのみで滞在・就労可能です。(逆にWPを取得したい場合も申請は受理されません)

 

代表者(事務所長)

2人目以降

外国人事業ライセンスを有する駐在員事務所

不要(免除)

ライセンスを有しない事務所

ワークパーミット申請の必要書類(駐在員事務所)

  1. 駐在員事務所登記簿または登録証
  2. 外国人事業ライセンス(あれば)
  3. 本社からの委任状
  4. 申請者の英文卒業証明書
  5. 現在(過去)の雇用者が発行した英文雇用証明
  6. 健康診断書・顔写真(3x4cm)・パスポート
  7. 労働省所定の申請書類

外国人就労者数の例外

駐在員事務所の就労可能人数は2名までですが、活動目的が以下の場合は例外となります。

  • 活動内容が「物・サービスの調達先探し」または「タイ製品の検品・管理」である場合は5名まで。
  • 日本の本社がタイ企業より年1億バーツ以上の調達を行っている場合、明確な人数制限は適用されず、ケースバイケースでの判断となる

活動内容・役職の制限について

駐在員事務所の多くは、本社の出張所的な役割として、タイでの市場調査・情報収集を行いレポートをする目的で設立許可を受けており、本来、営業・販売・技術支援といった活動は許されていません。
したがい、事務所代表者または補佐職といった役職・職務でのみワークパーミット申請が可能です。

Bビザ更新条件・必要書類等(駐在員事務所)

Bビザ期限更新の条件

駐在員事務所におけるBビザ期限延長申請の条件は以下の3つです。

  1. 外国人1名につきタイ人社員1名雇用
  2. 本社より200万バーツ以上(旧ルール化での駐在員事務所は300万バーツ)の資本金/運転資金が送金されていること
  3. 日本国籍者の月額給与は5万バーツ以上

 上記2に関して、直近1年内に75万バーツx外国人数以上の受取り実績を原則要求されます。

Bビザ更新申請の必要書類(駐在員事務所)

  1. 駐在員事務所登記簿または登録証
  2. 外国人事業ライセンス(あれば)
  3. 本社からの委任状
  4. 給与所得源泉税申告書
  5. 社会保険料納付書
  6. 個人所得税確定申告書(あれば)
  7. 本社からタイ駐在員事務所への送金実績を示す書面
  8. 事務所写真・地図
  9. 健康診断書・顔写真(4x6cm)・パスポート
  10. その他イミグレーション所定の申請書類

※上記は主たる必要書類となり、追加書類を要する場合もあります。

 

ワークパーミット取得の流れ・条件

ワークパーミット取得の流れ

  1. タイ大使館でノンイミグラントビザ(Bビザを始めとする、就労目的に合致したビザ)を取得
  2. タイ入国後、専用の健康診断書などを入手し、管轄の労働省雇用局に申請をします。この際に使用する申請書式はBT25(旧称WP1)となります。
  3. 管轄によりますが、3~5営業日程度でワークパーミットが発給されます。

ビザを申請する際に、タイ大使館より「タイ労働福祉省雇用部門発行のThe letter of consideration of` Work Permit」という書面を要求される場合があります。
この書面はWP3(トートー3,新名称はBT32)と呼ばれ、「仮の就労許可証」的な性質の書面となります。この場合の流れは下記となります。

  1. タイ法人側で労働省雇用局にWP3を申請。3-5営業日程度で発給
  2. WP3をビザ申請者に送付。通常はコピーのみで可
  3. タイ大使館でビザを取得
  4. タイ入国後すみやかに、雇用局に追加書類を提出。3-5営業日程度でWP発給

「就労」の定義について

特例により免除される場合を除き、タイではビザ(滞在許可)のみでは就労できず、別途ワークパーミット(通称:WP、ワーパミ)を取得しなければなりません。
ここでいう「就労」とは、肉体的または知的労働をおこなうことと定義されており、報酬の有無や期間の長短は関係しません。基本的に、1日だけタイで就労する場合、また無報酬のボランティアを行う場合であってもWPは必要になります。

WPの申請条件

WP申請の基本条件は、法令や労働社会福祉省内の部局が発行する通達書などで規定されていますが、それ以外にも各地域の雇用局が定めた細則や、慣例的なルールが存在します。

WPの申請条件や使用する書類は、所属組織のタイプによって大きく異なります。一般的な営利活動を行う企業、BOI(タイ投資委員会)の認可企業、駐在員事務所、非営利団体(NGO)・報道機関・教育機関など、それぞれに条件が定められています。

一般的な事業を行う企業における条件を以下に挙げます。(一部、弊社見解を含んでいます)

就労者に関する条件

滞在資格

ノンイミグラントビザを取得し入国していること。規定に明記は無いが、ノンイミグラントビザのうち就労可能なタイプであること(Bビザ、タイ人配偶者ビザ等

年齢 原則20歳以上
学歴 大学・高校卒以上といった明示的条件無し。(職歴を含めた総合的判断と理解)
職歴 原則2年以上(目安)。職歴の無い大学新卒者も就労可能だが、職種は限定される。
申請できる役職等
  • 外国人職業規制法で規制された職種は不可。法律/会計やエンジニアリング・設計などに関する専門的・技能的な職務はよく確認が必要。
  • タイ人では遂行が難しい内容の職務・役職であること。秘書や一般事務など実務に近い職は不可。

申請企業の条件

資本金
  • 外国人1人あたり200万バーツ(払込済み資本金額)
  • タイ人配偶者ビザ(結婚ビザ)所持者は100万バーツ/名でよい
  • 短期的な就労などの場合は例外有り(下段参照)
タイ人雇用義務
  • タイ人雇用は審査条件の一つとされているが、具体的な人数の規定は無し
  • 但し、Bビザ取得者がその期限延長を行う場合、外国人1名あたりタイ人社員4名雇用が要求されており、実質的に4名雇用が基本となる。
ライセンス等
  • 官庁や公的団体の許認可を要する業種では、その許可を取っていること。例)工場操業許可、建設業、運送業、ホテル運営、FDA関連、人材紹介業、旅行業、飲食業など。
  • タイ人しか行えない事業を主とする場合、有資格者の雇用を要するケースも有り。弁護士・会計士・建築士など。
財務状態等

営業の実態があり、かつ事業の継続に問題のないこと。(税務申告書や監査済報告書等を提出)

就労可能な人数

 原則として10名まで。一定の条件を満たす場合(下段参照)は、必要性に応じ10名を超えてワークパーミットを申請することができる。

外国人の給与額

最低給与額の規定は無し。
但し、Bビザ取得者がその期限延長を行う場合、月額5万バーツ以上(国籍により異なる)の給与所得が要求されている。

外国人就労許可条件の例外

以下に該当する企業は、10名を超えてWP申請が可能となる。但し、当該条件を下回ってしまうと翌年度以降に就労許可の更新ができなくなる恐れがある点に注意すべきです。

  • 300万バーツ以上の法人税納付実績がある
  • 100名以上のタイ人社員を雇用している
  • タイでの生産品輸出により、3000万バーツ以上の外貨収入を得た企業
  • 観光事業者において、5000人以上の外国人旅行者を呼び寄せた実績がある場合

以下の場合は、資本金及びWP取得者数の制限外となります。

  • タイ人が有しない先端技術である場合や需要に対して十分な労働者が居ない場合に、その職務を行う外国人。許可された期間内に2名以上のタイ人に技術移転を行う。
  • 明確な期限を有するプロジェクトを完成させるために専門的知識・技能をもって就労する外国人。(建設プロジェクトに従事するエンジニア等)
  • 明確な期限を有する臨時雇用の形態を有する娯楽、エンターテイメント、音楽演奏に就労する外国人。(歌手のコンサート)

WP申請の必要書類

一般形態の企業におけるワークパーミット(WP3)申請における主要な必要書類は下記の通りです。

  1. 有効なビザを取得済のパスポート
  2. 顔写真3枚
  3. 英文卒業証明、過去の雇用証明等
  4. 会社登記簿・株主名簿
  5. 決算書
  6. VAT登録証・納付証書
  7. 社会保険の納付書
  8. ライセンスを要する事業では許可証等の写し
  9. 代表者の身分証明書写し 他

※申請地や企業の業種・規模等によって相違があります。

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